初!人体 (他人)への鍼灸行為 ~社会人 新境地への第一歩~

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突然ですが、鍼灸は基本的に【侵害刺激】をひきおこすものです。侵害という不穏な言葉の通り「痛い!」って感じさせる神経を刺激する刺激で組織の損傷やその危険を伴うもの。こう聞くと

えっ!?やっぱり鍼灸って怖いし痛いんだ!!

ってなってしまうんですが、安心してください。痛くない鍼灸を学ぶために3年間通して実技の授業があるわけです。

逆に言うと「初めて鍼やお灸を持った人間のする鍼灸は痛い可能性がある」という事ですね。。。

実技の授業も学校によって様々な違いがあるのですが、学生同士が互いの体に鍼灸をしあいっこする。というのはどこの学校でも同じ。つまり鍼灸学生とは素人の鍼灸を3年間受け続けるということで……。もちろん教員の監督・指導のもとではありますし、先生方もかなりの神経を使って指導してくださいます。が、なんせお互い素人なわけです。

学校によっては人体に鍼灸をする前に鍼を巧みに扱えるようにする練習や紙や竹筒にお灸をする練習をガッツリやるところもありますが、実際に人体に鍼灸していくほうが上達する。というところだと割とすぐ学生同士の練習が始まります。

私の学校は後者で、鍼とお灸の使い方を習う→自分の体に鍼灸する→教員の体に鍼灸する→学生同士の練習開始

という感じでした。

ところでお気づきでしょうか。学生同士での練習の前に教員の体に鍼灸する。という流れがあることを…。

学生同士の練習の前に教員によるチェックが入るというのは当たり前といえば当たり前のように思えるのですが、私はこの時の青あざだらけの先生の腕を一生忘れないと思います。

鍼をもって1か月も経たないような人間の鍼をその腕に何本も受けるって、恐怖です。ほとんどの学生が自主練習してきていたとしても、全員が痛くなく鍼が出来る。なんてまずないです。

それを分かっていながら、学生同士で鍼灸師てもまぁ許せる範囲なのかどうか、自らの体を使って確かめるという教員の仕事の過酷さ……。私、出来ねぇ…。先生だから当たりまえとか言えない。社会人としてめちゃくちゃ尊敬する。。。

私はこの日から「優しい鍼が出来る人になろう。痛くない鍼が出来るようになろう。ちゃんと練習しよう。とりあえず資格とれればいいやって思ってたけど違うな。そうじゃないな」と心を入れ替え始めました。

もともと鍼灸師の技術と学ぶ知識への好奇心で入学を決めた私は座学も実技も「そこそこ」できて国家試験通って肩書が出来るだけで充分。と思っていたのですが、鍼灸って他人を物理的に傷つける行為なんだと実感したのがこの日でした。怖がってばかりいては何もできなくなってしまうけれど、自分がやっていること、やろうとしていることは知識や練習なしに行って良いものではない。

それを思わせてくれたのがこの実技の授業でした。

ちなみに教員チェックの結果、学生同士の鍼灸はまだ早いもっと自主練が必要と判断された学生は、他の学生が互いの体で練習している間もくもくと一人で自主練(課題)を与えられます。私の学年にもそういう方がいらっしゃって、ここで心折れる人もいるだろうなと思いつつ、その方が練習して上達していく姿を目にして「やれば出来るようになるし、やらなかったらすぐ抜かされる」ということを感じられたことも、今となっては良かったなと思っています。

鍼灸学生、ちょっと上手いと言われたからって天狗になってる暇ないです。天狗になる余裕があるならもっと学ぶことや磨ける技術が次から次に湧いてきます。まぁ、天狗になれるくらい技術あるなら学生同士の練習ではヒーローです。皆「安心して体貸せる人」と組みたいですし。

もし自分とペアになった人が緊張していたら、施術態度や技術に問題あるんだろうなぁと思った方が良い。っていつも自分に言い聞かせていました。

実際に私と組んだ人が心の中でどう思っていたか。は怖くて聞けてないですが。「今日ペア一緒で助かった」って言ってもらうこともあったからそこまで悪くはなかったんじゃないかな。って勝手に思ってました。

自分に鍼灸をするのが嫌(痛い・熱いから)って言ううちは他人に自信をもって施術するなんて到底出来ないので、自分の体で練習するしかないです。

ただ、自主練も一筋縄じゃいかなくて。というのが次回のお話。

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