鍼ってぶっちゃけ痛い? ~切皮痛との闘いと響きへの想い~

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鍼灸院のサイトを見ると「施術に使用する鍼は髪の毛より細いので痛くないよ」的なことが書いていることが多いかと思います。

確かに、多くの鍼灸院で使用される鍼は細く、注射器のような鍼とは全く違います。では細い=痛くないのかというと…

そうとは言い切れないよね~~~~~~~~

というのが、私の本音。(私の技術力不足じゃなくて、1人の患者として施術されてる側としての本音)

でも、じゃあ鍼ってやっぱり痛いんじゃん!嫌だ!と思ったそこの貴方!大丈夫!!そんなに痛くない(どっちよ)。

ただ、鍼刺激による「痛み」については施術者によって考え方が違うところがあったりしてややこしかったりするんです。痛くないと効いた気がしない。と話す方もいらっしゃいますし。

わざわざ「痛み」を求めるってどういうこと????大丈夫???って感じなのですが。。。

実は、鍼をするときに出る「痛み」には大きく分けて2種類あります

1つ目が切皮痛。私が出来る限り出したくない痛み。なんなら憎んでいる痛み。

読んで字のごとく、鍼で皮膚を貫くときにでるチクっとした痛みです。

その日の体調や皮膚・筋肉の状態によって同じ施術者であっても痛みを感じるようなことがあります。それはある程度仕方のないことと言える場合もあるのですが、施術者の技術力によっても大きく左右され、悪い姿勢で力で鍼を刺されたりすると痛いです。学生だとやりがちですがもう本当に辞めて欲しい。。。と思うのがこの痛みです。

鍼を手にして一番最初に戦うのがこの切皮痛との闘いです。学校で最初に使用する鍼は細いことがほとんどなので、痛みに強い人だと「まぁこんなもんかぁ」で済ませてしまえるような痛みでもあるのですが、私は痛いの本当に嫌だったので、自分の体でチクってならないためにはどうすれば良いのか、押し手の強さ、指し手の角度、方向、色んなことを考えながら四苦八苦していました。

家で自主練してて、これなら良いのでは?ってなって、張り切って学生同士で練習して「痛いな?」って言われて落ち込んだり。。。

鍼灸学生あるあるです。

細い鍼の方が切皮痛が出にくいと言われていますが、太い鍼でも術者の腕によっては「あれ?もう鍼されてる??」ってなることも多いです。これ、私の理想の鍼でもあるのですが相手が友人だったりする場合、たまーに「え?本当に鍼してくれてる?」って疑われるので痛くないのも善し悪しなのか…?って一瞬悩んだりもします。(でも絶対痛くないほうが良い)

また、個人的には鍼の柔らかさ(柔軟性)にも左右されると思っています。柔らかいほうが肌に馴染んで気持ちよいのですが、肌を一気に貫いてくれる固めの鍼は切皮痛が出にくい…というのが実感としてあります。使い分けも鍼灸師の腕の見せ所。というか柔らかい刺入の難しい鍼でも術者の腕による痛みはなくすために自主練です。

また、日本では管鍼法と呼ばれるストロー上の筒を使って鍼を刺入する方法が多く用いられていまるのですが、この時筒を叩く力が強すぎたりリズムが悪かったりすると何とも言えない嫌な感じです。(切皮痛というより個人的に苦手な鍼)

他にも刺入痛(鍼を筋肉にすすめていく途中で、コリ等にぶつかって出るほか、無理やり方向を変えようとしたとき等にでる痛み)や抜鍼痛(鍼を抜くときに出る痛み。筋線維が鍼に絡みついて痛む場合等がある)が出ることがあるのですがこの辺の痛みは術者の腕で避けられることも多い、極力なくしたい痛みです。

2つ目が響きと呼ばれる痛みです。あったほうが良い。なくて良い。と鍼灸師間でも意見の分かれるのがこちらの痛み。

ズーンとした痛み。重怠い痛み。と表現されることが多い痛みです。逆に痛みが走った瞬間スッと体が軽くなるようなこともあり、個人的には、体が変わるための「スイッチ」が入ったことを知らせてくれる痛みのように思っています。

切皮痛とは反応する受容器が違うので、痛みの種類は全然違います。切皮痛の鋭さはないのですが、痛くないわけではなく。場合によってはびっくりして飛び上がりそうになることもあれば、心地よいじわーっとした感覚が広がって痛気持ちよい~~💞となることもあります。

私が始めて響きを知ったのは、実技で初めて自分の体に鍼をした日でした。自分の足に鍼をしてみましょう。ツボとか気にしなくていいから。と言われてプスッと練習していた時のことです。何気なく脛に鍼をして、もうちょっと深く刺してみようかな(といっても1センチも入らないくらい)と鍼をすすめたその時です。突然ずんっつという今まであまり感じたことない衝撃が胸のあたりにまで 響いてきて、一瞬鍼折れた!?えっ、えっ!!??ってプチパニック。ただその直後、すぅっと体が軽くなった感じがして、呼吸が楽になったような感覚になり、落ち着いて足を見てみれば、血も出ていないしもちろん鍼も折れていない。もう痛みもない。

これは、何!?

となったのが、私の初めての響き体験でした。本当にこの後、喉のつかえがとれたというか爽快感みたいなものが発生しました。

鍼灸経験のある友人の中には「この痛みがないと嫌。めっちゃスッキリする!」という人もいる痛みがこの痛みです。

この響きがないと鍼灸の効果は充分引き出せないと言われることもありますが、響きそのものはやっぱり好き嫌いのあるものです。私のようにノーガードで強い響きがでると本当にビックリします。

丁寧な施術によって引き起こされた響きは心地よいことが多いのですが、当時の私のように偶然&勢いよく響くのはあまり好きでない(個人的に)ので、コントロールを磨く日々です。

響きで思い出すのが学生の時、実技のテストで後輩の合谷(ツボ)に鍼をしたとき後輩の腕がビクッてなって(…あ、強く響いちゃった)って軽く落ち込んでいたら試験管の先生に「いきなりドンって響き与えたらビックリするから、響きが出る一歩手前で止めないと特に女性には嫌がられることが多いからなぁ…」と飄々とコメントされ「響く場所狙えるかも難しいのに響く一歩手前で止める……?学生ですけど……??」ってなったことがあります。

しかも響きって、コリにあてたら出るというものでもなく、空虚だったり粘っこかったり、何かしらの違和感(しかも鍼先から伝わってくる感覚頼り)のあるところで出る感じのものなので、どう感じ取るのかとか言葉で説明するのめちゃくちゃ難しい。指先の感覚の鋭い方だと学生でも「あ、もう少しいったら響きそう。ちょっとゆっくりいこう」ってわかる場合もあれば、鍼灸師歴の長い方でも「ここ響き出てると思うんだけど、どうです?強すぎませんか」と相手に聞きながら施術することもあります。

ちなみに、響きは施術方法や流派(考え方)によって重視する先生とされない先生がいらっしゃいます。

やみくもに鍼を刺すだけでも生体には何かしらの反応をおこします。(異物が体の中に入ってくるのですから当然と言えば当然なのですが)なので、響きがなくても体は変化します。的確にコリにあたれば、その周辺の血流はよくなりコリは緩和します。なので響きが絶対的に必要なものかと聞かれればそうではありません。

ただ、響いたなって感覚がある鍼を受けると、たった1本でも体が変わった感覚があるなというのが私の実感です。

でもねーやっぱり不快な痛みを我慢する必要ってあんまりないと思うんですよ。ちょっと時間かかっても気持ちよい鍼の方が心地よいし通っていても辛くない(なんならリラックス効果を感じる)ほうが良いなって。でも結局は個人の好みです。「行ってみないと分からない」ことが多すぎるのが鍼灸院(鍼灸師)選びの難しさだよなーってホント毎日思います。

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